四肢専用に用途を絞ってガントリ中央への配置と小コイルを実現したO-scanは、工学的にも合目的な製品といえます。

馬見塚 尚孝 先生

ベースボール&スポーツクリニック ( 神奈川県川崎市)

馬見塚 尚孝 先生

導入MRI
O-scan

治療とリハビリテーション、育成でアスリートを総合的に“診る”

先生は肘の専門家として究める一方で、“野球医学の専門家”として大学野球部のチームドクターやコーチングスタッフ、スポーツ用具の開発などにも携わってきました。名称からもその専門性が伝わります。

当院は、野球をはじめとする各種スポーツ傷害の診断、治療、リハビリテーションを行う専門クリニックです。理念として、「野球医学とスポーツ総合診療でみんなを笑顔に!」にしました。

スポーツ総合診療”という言葉を用いたのは、スポーツ傷害や治療効果、アスリートのパフォーマンスと、貧血や亜鉛欠乏症、低身長、月経困難症などには深い関係があり、整形外科を超えた幅広い専門性が求められるとの考えからです。

基本は整形外科的治療とリハビリテーションですが、必要に応じて、睡眠や栄養に関する指導やスポーツ傷害の予防、女性アスリートのピルの処方、選手の育成も行うなど、“スポーツ総合診療科”を目指して学んでいます。

ハイレベルアスリートも多数来院しているそうですね。具体的な治療アプローチをお聞かせください。

例えば、肘に痛みを訴える患者さんであれば、診察とX線検査で頚椎や胸郭出口など肘以外の領域の鑑別診断を下した後、必要に応じて肘の超音波検査もしくはMRI検査を実施し確定診断に至ります。同時に、現在の状態について安静期、回復期、復帰期の評価をし、各期に応じた治療およびリハビリテーションを行います。安静期の場合は、患部を安静に保った上でリハビリテーションプログラムを検討します。成長しつつある選手は、身体の治癒・身長の伸び・運動・生活に上手に栄養を分配することが重要です。

一般的にスポーツ医学で行われる患部外の高強度トレーニングと可及的早期復帰の考えは、栄養の視点から見ると患部の修復材料欠乏状態を導く場合があります。

このため当院では、体組成や採血検査などで選手の栄養状態を評価し、必要十分な休息や睡眠の確保と患者さんのスポーツ医科学のリテラシーを高めるようにしています。それが長期的には治癒の促進やパフォーマンス向上、再発予防につながると考えます。

野球と縁の深い専門スタッフが多方面から支える

スタッフも特徴的なメンバーが揃っているそうですね。

日本スポーツ振興センター(JSC)のジュニアアスリート発掘育成プロジェクトに関わっていた育成コーチのほか、理学療法士、柔道整復師でもあるアスレティックトレーナー、管理栄養士、看護師、受付などが在籍しています。どのスタッフも野球や他のスポーツと深い関わりを持つ者ばかりです。

2019年5月の開院から3カ月が経ちましたが、現在の状況をお教えください。

週あたりの患者数は230名余りで、初診が15%、再診が85%です。そのうちMRIを実施するのは10例ほどです。患者さんの多くは関東圏の方で、チームのトレーナー、監督、他の患者さんからの紹介が多いですね。

実は、武蔵小杉(神奈川県川崎市)という場所を選んだ大きな理由の一つが、関東地方だけではなく羽田空港や新幹線の駅からのアクセスの良さです。今後は、外国人の患者さんも視野に入れた体制を構築したいと考えています。

積載荷重の制約をクリアした軽量MRI

肘の診断、治療においては、以前からMRIを使用していたそうですね。

2004年から、3テスラや1.5テスラの超電導MRIで、特殊な小関節コイルを用いた肘の撮像を行っていました。

これがあまりにも分解能がよくて、当時はまだ世の中に肘関節の高分解能MRIの十分な教科書が存在しておらず、撮像してもその所見が理解できないという状態でした。しかし、症例を積み重ね、実際の患部組織と撮像データを比較し続けるうちに、次第に、画像が示しているものが何かわかるようになっていきました。

特に、成長期の肘の軟骨膜がわかった時は、「これか!」と喜んだことを覚えています。

そうした積み重ねが、肘のMRI撮像の発展をもたらしたのですね。クリニック開業の際も、当初からMRIの導入は念頭にあったのでしょうか。

専門クリニックとして開業するからには、大病院と同等あるいはそれ以上のシステムと設備を揃えたいと考えていました。

もちろん、MRIの導入も計画当初から考えていましたが、あいにく建物(ビル)の積載荷重の規制により、超電導のMRIが設置できない状況でした。そうした制約のもと、軽量のMRIを探していたところ、O-scanの存在を知ったのです。ただ、撮像例を見た当初は、正直、導入は厳しいと感じました。やはり、それまで目にしてきた高解像度のMRI撮像との画質の差が気になりました。

しかしその後、エンジニアの尽力によりパラメータの調整を重ねた結果、画質のレベルが向上し、最終的には導入決定に至りました。肘の内側側副靱帯を描出しやすい肘屈曲角度もわかり、診断精度は向上しています。

肘関節の画質を重要視したことはもちろんですが、ほかにも膝関節、足関節、手関節など、四肢の画像診断に重宝しています。

工学的視点においても合目的なO-scan

実臨床で感じるO-scanのメリットを教えてください。

先に述べたように、当院にとって最大のメリットは軽量であることでした。サイズも小さいので、スペースや積載荷重に制約のある施設には非常に有効だと思います。また、音がなく静かで、オープンタイプは閉所恐怖症の方にも安心です。

当院の患者さんは小学生も多いのですが、検査中の姿勢の保持も容易に行えています。他にも、装置の価格とランニングコストが低い点、超電導に比べて患者さんの金銭的な負担額が低い点も魅力です。

個人的には、見た目がおしゃれで可愛いところも気に入っています。

コンパクトさは一つの魅力といえそうですね。

四肢専用に用途を絞って小さなコイルを実現しているO-scanは、工学的にも非常に合目的な装置だと思います。磁場の均一化を図るため、測定物はガントリの中央に置くべきであるという、MRIの撮像の基本にも適っています。肩や股関節、腰椎に関しては、必要に応じて近隣の画像検査・診断の専門クリニックに依頼しているので、不便は感じていません。

すでにMRIを持っている施設でも、O-scanは、セカンドマシンとして高い意義を持っていると思います。四肢の撮像をO-scanに任せることで、施設全体の検査効率も上がります。若手技師の経験を積む第一歩としても、O-scanは最適ではないでしょうか。

導入製品

O-scan

国内唯一の四肢専用MRIが、
費用対効果に優れた画像診断を提供

O-scan

※本レポートの記載内容は、製品の仕様値として保証するものではありません。

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