Gravity(重力)と戦う整形外科医にとって立位が撮れるG-scan brioは、診断の新たな可能性を開く魅力的なツールです。

整形外科 尾形クリニック ( 愛媛県松山市)

尾形 直則 先生

導入MRI
G-scan brio

的確な診断で患者さんをトリアージする

先生は愛媛大学で脊椎分野の研究者としてご活躍されていた中で、2018年に無床のクリニックをご開業されました。その動機をお聞かせください。

最も大きな理由は、自分を試したいという気持ちです。
診断というのは、単に疾患を見つけるのではなく、治癒に至るまでの“地図”を描くことです。的確な“地図”を描くには、問診・触診・画像診断を含めた精度の高い診断力と、手術やリハビリテーション、薬物療法などの治療法を使いこなすための幅広い知識や技術、経験が求められます。

これまで、手術に関しては多くの症例と経験を重ねてきましたが、その一方で、手術以外の治療(保存療法)についてはまだ経験が不十分であり、勉強の余地があると感じていました。そこで、整形外科医としての残りの人生を、脊椎外科を中心とした診断と保存療法の確立に使いたいと思ったのです。

具体的にはどのようなことを行われていますか。

保存療法といっても、電気治療や牽引などの物理療法は行わず、運動療法・徒手的理学療法のみを実施しています。また、局所注射も頻繁には行いませんし、ビタミン剤等の効果のほとんど無い薬も出しません。診療の第一段階としては、問診・触診・各種検査などにより患者の状態をできるだけ的確に把握し、どのような治療がその患者さんにとって最適なのかを考えます。手術が必要な方、保存的治療で済む方、手術と保存的治療の両方が必要な方、治療が不要な健康な方、それらを診断により見極め、当院で保存治療を行う方もおられますが、手術のメリットが高いと判断すれば手術をお勧めしますし、遠方に住む方であれば、保存療法であっても通院可能な他の病院を紹介します。

また、新患率の高さも当院の特徴の一つです。1日100名の患者さんのうち、およそ10名が新患です。他院で治らない患者さんもよく来られます。来院のきっかけのほとんどが口コミですね。

リハビリ室の様子。天井から垂れているのは、近年普及が進んでいるレッドコード。
患者さんを吊るすことで、Gravity解放したリハビリが実現できる。

自分が求めていたMRIとの運命の出会い

その診断ツールとして機能しているのが、国内唯一の立位・荷重位撮像機能搭載MRIであるG-scan brioですね。購入のきっかけを教えてください。

もともと、画像診断に関しては、痛みを訴える時の体位で撮像すべきとの考えがありました。事実、大学病院で勤務していた頃からレントゲンを立位で実施していました。
本来であればMRIやCTもそうすべきなのですが、立位で撮像可能な装置は設計や運用上で困難な点が多い状況でした。

開業を検討する中で、立位撮像機能搭載MRIがないものかと思案していた矢先、偶然にも日本整形外科学会の展示ブースでG-scan brioに出会ったのです。教授に退職を申し出た一週間後のことです。

その出会いがなければ、別のMRI製品を導入するつもりだった。

脊椎が専門である以上、MRIは必要ですから、仕方なく臥位のみが撮影可能なクリニック用MRIの導入を考えていました。それが突然、自分が求めていたものが目の前に現れたのですから、その場で購入を決心しましたね。

導入は2019年4月からだそうですが、導入後の稼働は順調でしたか。

当初から患者層と合致しており、稼働も順調でしたね。1日6枠でスタートしましたが、枠が埋まる状態が続き、翌月からは緊急以外の枠を8枠に増やしました。それでも予約が埋まり、現在はお待ちいただく患者さんも出ている状況ですね。

撮像はどのように行っていますか。

起立性低血圧を防ぐためにも、撮影は立位、臥位の順に行っています。荷重時の角度は81度とし、1回の撮影時間はおよそ45分です。当院では常に2名の診療放射線技師が稼働し、1名はMRI担当、もう1名はそれ以外の業務を担う体制をとっています。

Gravity下での椎間孔ヘルニアに初めて遭遇

G-scan brio導入後の印象的な事例があればお教えください。

先日、腰痛を訴える50歳代の女性が来院されました。様々な医療機関で異常なしと診断された挙句、精神疾患を疑われて心療内科へ通院、服薬している方でした。G-scan brioでの撮像も一見、問題はないように思われましたが、よくよく見ると立位の撮像に椎間孔ヘルニアが発見されたのです。

私も、Gravity下で椎間孔ヘルニアを捉えた撮像を見たのは初めてで、興奮しました。患者さんも、診断がついたことに大変満足された様子でした。まさに、G-scan brioでなければ、決して実現できないケースでした。

膨大な画像の中からその1枚を探し出し、診断に結びつけたのですね。

ただし、多忙な日常診療の中で、1枚1枚の画像を仔細に見るのは現実的ではありません。今回のケースも、「ここに何かがあるはず」という確信のもとで、臥位と立位の違いを探すから見つけられたのです。

診察というのは、あくまで問診と理学所見ありきで、そこから得た情報と自分の積み上げた経験を照らし合わせたものを、画像で証明するものだと思います。画像は大事ですが、画像のみに頼ってはいけません。

機械の持ち味を活かすには、使う側のスキルも必要ということですね。

臥位に加えて立位も撮るのは、確かに面倒かもしれません。しかし人間はGravityの中で生きています。Gravityの中で起こる病気の最たるものが整形外科疾患であり、整形外科医こそが診断や治療、リハビリテーションでGravityを意識すべきだと思うのです。

今後の展望をお聞かせください。

臨床家としては、これからもG-scan brioを患者さんの診断に役立てたいという気持ちですね。それと同時に、研究者の立場としては、G-scan brioで誰も見つけられなかった新たな病態を見つけられたらと願っています。

導入から2ヵ月が経過し、我々も少しずつG-scan brioを使いこなせるようになってきました。先に挙げた症例以外にも、すでにいくつかの貴重な症例を経験しています。G-scan brioは、診断の新しい可能性を開いてくれるモダリティです。今後もさらに試行錯誤しながら、撮影や読影の技術の上達と、精度の向上に努めていきたいと思います。

導入製品

G-scan brio

立位・荷重位での撮影が可能な機能とデザイン

G-scan brio

※本レポートの記載内容は、製品の仕様値として保証するものではありません。

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